花粉Pollen舞踏譜(部屋一杯の花粉。濃度、濃さ、眠り。 包まれている。どんよりと重たい花曇り。 朦朧としている。) 指先の細い糸、花。帽子、髪の毛。 花粉に包まれた花子。濃い花粉。気化。 指先の触覚のみで下がっていく。 部屋一杯の花粉に包まれている。 その濃い部分をよく見ると、 若冲の鶏に見える。 と思ったら、やはり花粉だった。 花粉だけになって歩いてきたと思ったら、 また若冲の鶏に見えた、 と思ったら、また花粉になって、 下がって、濃い花粉に包まれていった。 濃い花粉の中から、 花粉だけでできた人物が出てきた。 そしてまた、濃い花粉に包まれて消える。 (ビアズレー、家族、手紙を持つ人、船頭) 解説朦朧さをいかに繊細に出せるか。空間を作っている素材に関わる重要な踊り。関連舞踏譜解剖図鑑の世界人間の身体が腐り、崩れてゆくプロセスを踊るとともに、人間としての根拠をも失ってしまう。ソロモン王宮壁の世界「〜から〜へ」という言葉の中身こそが踊り。変化を追うのでなく、さまざまな人物がどのような「間」で出没しているのかをつかまえることが重要。土塊から幽霊へ壁の世界空気中に霧散している埃がかたまって、何か人物らしきものを形作った。埃の飼育