花粉


Pollen

舞踏譜

(部屋一杯の花粉。濃度、濃さ、眠り。 包まれている。どんよりと重たい花曇り。 朦朧としている。)

  1. 指先の細い糸、花。帽子、髪の毛。
    花粉に包まれた花子。濃い花粉。気化。 指先の触覚のみで下がっていく。
  2. 部屋一杯の花粉に包まれている。
    その濃い部分をよく見ると、 若冲の鶏に見える。 と思ったら、やはり花粉だった。 花粉だけになって歩いてきたと思ったら、 また若冲の鶏に見えた、 と思ったら、また花粉になって、 下がって、濃い花粉に包まれていった。
  3. 濃い花粉の中から、 花粉だけでできた人物が出てきた。
    そしてまた、濃い花粉に包まれて消える。 (ビアズレー、家族、手紙を持つ人、船頭)
解説
朦朧さをいかに繊細に出せるか。空間を作っている素材に関わる重要な踊り。
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