舞踏譜
足元の床に大きな耳が一つある。
その耳の軌跡に沿って歩く。
耳の曲線、傾斜、
だんだん奥に向かって歩いていく。
と、今度は人さし指の先に目が付いた。
鼻も耳になっている。
耳の壁に沿ってずるずると歩く。
背中にナメクジが這っている。
耳が耳の軌跡をたどっていく。
奇妙な曲線。
遠くから、物売りの声が聞こえてくる、
これが耳にした最後の声だった。
鼻の先の耳、顎の下の目、
股下からの目に動かされる。
手は無国籍に手の迷宮を辿っていく、
何処までも。
ソロモン王宮へ入っていく。