耳の歩行


Ear Walk

舞踏譜

足元の床に大きな耳が一つある。
その耳の軌跡に沿って歩く。
耳の曲線、傾斜、 だんだん奥に向かって歩いていく。
と、今度は人さし指の先に目が付いた。
鼻も耳になっている。

耳の壁に沿ってずるずると歩く。
背中にナメクジが這っている。
耳が耳の軌跡をたどっていく。
奇妙な曲線。
遠くから、物売りの声が聞こえてくる、 これが耳にした最後の声だった。

鼻の先の耳、顎の下の目、 股下からの目に動かされる。
手は無国籍に手の迷宮を辿っていく、 何処までも。
ソロモン王宮へ入っていく。

解説
1センチ位に縮んだ自分が、自分の耳の中を歩いている。耳の内部の空洞や複雑な曲線を辿りながら奥へ奥へと進んでいく。
関連舞踏譜
解剖図鑑の世界膿で出来ているソロモン王宮。かつては栄えていたその王宮の中を歩いているうちに、自分の身体が膿の空間に吸い寄せられ、いつしか宮殿に住む法王になっていた。
ダリの軌跡
神経病棟の世界
指一本に関わって